歯周病
「平成17年歯科疾患実態調査」によると、年齢階級別の有病者率をみると、年齢が高くなるにつれて歯肉に所見のある者が増え、45-54歳の年齢層で約88%を示し、加齢とともに増加する傾向にあります。30-69歳では80%以上を示します。
また、歯ぐきに何らかの症状がみられる患者数を推定すると約9500万人となります。しかし、実際に歯科医院で治療を受けている患者数は約120万人です。
率にすると13%になります。
近年、歯周病が全身の健康に影響するという研究が数多く報告されるようになってきました。
これは、歯周治療により歯の喪失を防ぐということだけでなく、全身の健康管理という観点から合理的な歯周病の検査、診断に基づいた治療計画を立案し、適切な歯周治療を行わねばならないことを意味します。
歯周病と全身疾患
みなさんはどれ位、歯周病について御存じでしょうか?
口は健康の入り口です。
歯周病と全身疾患の関連はこんなにあるんです。
歯周病は細菌の感染症です。生活習慣病とも言われ、タバコ・ストレス・悪習癖など歯周病を悪化させる因子は様々ですが、その直接の原因となるのは細菌です。歯周病を悪化させる細菌の種類は解明されており、それらはお口の中の常在菌とは違います。
近年、歯周病と全身疾患の密接な関係が明らかにされてきました。歯周病の原因菌は、お口から体内に侵入することで、様々な疾患を引き起こします。
体内に細菌が侵入する経路のほとんどは、お口を通して起こります。お口の中をきれいにし、歯周病を治療・予防することは、全身疾患の予防にも繋がるのです。
義歯に付着する汚れの正体も、歯周病の細菌とほぼ同じです。義歯をきれいに保つことも全身の健康のためには大切です。
歯周病と関連のある全身疾患
● 糖尿病
● 心臓疾患・動脈硬化
● 肺炎
● 低体重児出産・早産
● 骨粗しょう症、腎炎、関節炎 etc
糖尿病
糖尿病と歯周病の関係は特に密接です。糖尿病を治療することで歯周病が改善しますが、逆に歯周病を治療することで糖尿病が改善すると言われています。
心臓疾患・動脈硬化歯周病の原因となる細菌の毒素が、血流に乗って血管に作用し動脈硬化を引き起こします。また、それにより心臓疾患も引き起こすと言われています。
肺炎誤嚥によって歯周病の細菌が肺に入り、肺炎を引き起こします。
低体重児出産歯周病になると体内に産生される物質が、血流を渡って胎盤に流入し、早産を引き起こします。
お口の健康、そして全身の健康のため、歯周病を予防しましょう。
歯周病の治療法は?
比較的軽い歯周病であれば、歯や歯の周りを清潔に保つ治療を続けることで治すことが出来ます。しかし、炎症が歯肉の奥まで進行し、歯周組織の破壊がひどい場合には、歯周組織を回復させるための手術(歯周外科手術)が必要となります。この手術の際に、手術治療を補助するための歯周組織再生誘導材料という歯科用の材料が使われることがあります。
エムドゲインゲルとは?
エムドゲインゲルとは、スウェーデンのビオラ社で開発された新しい歯周組織再生誘導材料のことです。エムドゲインゲルの主成分(エナメルマトリックスデリバティブ)は、子供のころ、歯が生えてくる時に重要な働きをするたん白質の一種でできています。現在の科学水準に基づく高い安全性確保の下、幼若豚の歯胚から抽出精製したもので、2009年3月現在、世界28カ国で使用されています。
歯周外科手術の際に、手術部位にエムドゲインゲルを塗布することにより、歯の発生過程に似た環境を再現することができます。こうして、初めて歯が生えたときと同じような強固な付着機能を持つ歯周組織の再生を促し、健康な歯周組織を取り戻します。
エムドゲインゲルを使った治療法について
歯周組織の状態を調べるために、歯周ポケットの深さを計ったり、レントゲンを撮ったり、その他治療に必要な検査を行ないます。エムドゲインゲルを使用した治療が行なえるかどうかは、歯周病の程度や患者さんの健康状態によっても異なります。
手術は麻酔をかけて行ないます。まず最初に治療する部分の歯肉を切開し、剥離します。次に歯根表面の清掃を行い、エムドゲインゲルを塗布します。最後に切開した歯肉部分を縫合し、手術は終了です。手術にかかる時間は約1時間前後で、手術後、しばらく休んでいただいた後は帰宅できます。抜糸は手術日から2~6週間後に行ないます。
定期的な受診について
健康な歯周組織を取り戻すまでには、数ヶ月から1年程度かかります。歯周組織が再生するまでの期間は個人差があり、歯周病の程度によっても異なります。術後のスケジュールの詳細も状態によって異なりますので、必ず定期的な検査を受けて下さい。治療が終了した後も、口の中の衛生状態を定期的に検査することをお薦めします。
ぺリオウェーブとは?
光殺菌(PDT)による最新の歯周病菌殺菌システムです。メチレンブルーを主成分としたバイオジェルで細菌を染色し、無熱の赤色光と化学反応させる事で活性酸素を発生させ細菌を死滅させます。インプラント周囲炎に対しても効果的で現在世界が注目している最先端の光殺菌技術です。